鍼灸治療の流派とは?
鍼灸治療ってどこの鍼灸院で受けても施術内容って同じですか????
いいえ、鍼灸治療はは施術者(鍼灸師)によってかなりの部分で異なります。
極端な例ですが、一回の施術で刺す鍼の本数が1本だけの鍼灸師もいれば100本刺す鍼灸師もいます。
鍼の太さも0.1o〜0.25o位まで様々あり、どの鍼を使って、どのツボに、どのくらいの深さを打つか、どのような手技を加えるか、すぐに抜くのか、または数分刺したままにするのか、お灸を加えるのか(灸頭鍼)、などなど。
細かく言ったらきりがありません。。
さて、流派について書きたいと思います。
先ほどは、鍼灸師によって異なると書きましたが、その鍼灸師も初めは鍼灸師養成校で鍼灸の「いろは」を一から学びますから、まったく自分オリジナルの治療法を開発するなんて方は稀です。
そこで、一般的に言われている流派(治療スタイル)を挙げてみますと、現代鍼灸・中医学鍼灸・日本伝統鍼灸の3つに分けられます。
これらは、必ずこの3つの中のいずれかだけを行うというわけではなくて、患者さんによって使い分けている鍼灸師もいれば、一つの流派だけの治療を行う鍼灸師もいます。
それでは、次にそれぞれの特徴を見ていきましょう!
まず、第一番目は現代鍼灸です。
現代と入っているので、こちらは現代医学に近い鍼灸スタイルです。どういうことか言いますと、基礎医学である解剖学、生理学、運動学等に基づいた鍼灸ということです。
したがって、体の診方も、筋肉の緊張や神経、関節の可動域、どの部位がどうすると痛むなど、基礎医学に基づき把握します。どちらかというと局所的な治療を行うことが多いといえます。腰が痛いなら腰に鍼を打つといった具合です。
特徴は経穴(ツボ)よりもどちらかというと、先に挙げた筋肉、靭帯、神経等を目標として鍼をして、血流改善、疼痛緩和を促します。また、鍼通電療法といって、打った鍼に微弱電流を流して治療を行うこともあります。
現代鍼灸は何といっても、受けている患者様も治療内容を理解しやすいところが良いと思います。
次は中医学鍼灸です。
こちらは東洋医学いえばそのルーツは中国!という分けで中国医学(中医学)の考えを基本に治療を行うスタイルです。陰陽五行説という中国の哲学理論に基づく体の診方が特徴で、五臓六腑や気血津液(きけつしんえき)などを基本に体の状態を把握し治療を施します。
弁証という現代医学でいえばどの病気に当てはまるのか診断する事と同じような感じで、患者さんの症状や所見を分析することです。
様々な弁証方法があり、詳しくは割愛しますが、中医学独特の四文字熟語が多いです。例=肝気鬱血、肝脾不和、脾腎陽虚、気血両虚などなど。
当院でも、気血津液弁証、臓腑弁証、八綱弁証を主に用いています。
これにより、治法も決まり、それにあう経穴を使って治療をします。
鍼は中国鍼を使用する場合が多く、これは日本の鍼よりも太く刺激は強めですね。
吸角といって牛乳瓶を浅くしたようなガラス製の器の中身を陰圧にして背中にくっつけて治療をおこなうこともあります。
最後は日本伝統鍼灸です。
こちらは鍼灸が中国から伝わって日本で独自に発展した日本式鍼灸です。
何といっても、脈診で五臓六腑の不具合を把握し、その臓腑の経絡にあるツボを刺激して脈を整える治療を行います。
日本鍼の細い針を使って、浅く打つ鍼が特徴です。
お灸も多用する施術者が多いのと思います。
以上、ざっと説明しました。
当然ではありますが、どの治療スタイルが一番優れているとか、ダメとかは、そんなことはいうるものではありません。
登山に置き換えると、頂上を目指すのが目的であって、そのルートがいくつかあるといった感じでしょうか?
鍼灸師同士でも、どんな治療をするのですか?と聞くと大体はこの3つのうちのどれかをいうか、個別の流派を口にします。
さて、私の治療についてですが、私はまず初めに伝統治療系に入る長野式鍼灸を勉強し、次に中医鍼灸を勉強し取り入れ、現代鍼灸の通電療法も行い、刺絡治療も行うという、一風変わった鍼灸師かもしれません。
また、鍼灸師になる前にはカイロプラクティックやオステオパシーなどの勉強もしていましたので、背骨や体の歪みに対してもアプローチします。
開業し、日々臨床に立っていると、一つの理論や方法だけでは足りないことに気づかされ、様々勉強していくうちに自分流が出来上がっていくのではかと思います。
鍼灸院には様々な症状を持った方がいらっしゃいます。
その方にあった治療を提供しようと考えていくうちに、いろいろな勉強に手をだして引き出しを多くして対応しようと考え、今に至ります。
具体的には、運動やスポーツで傷めたり、筋肉の張り感が残っている場合は現代鍼灸のアプローチがいいと思います。
慢性的な冷えや倦怠感、自律神経の乱れなどには、中学的や経絡治療などが有効だと考えています。
虚弱な方には優しい刺激で対応し、がっちりタイプや筋肉質な方には強めの刺激と使い分けています。
難病や原因が不明な方には刺絡治療などを検討します。
このように、その方にあったオーダーメイドの治療の提供を心掛けています。